ここでは、救急車にiPadを搭載して、搬送にかかる時間を短縮する取り組みについてご紹介します。
患者のたらい回しを防ぐための打開策!iPad搭載救急車とはどのようなものなのでしょうか?
地方都市では、どこも高齢化が深刻な問題となっています。
高齢化が進んで高齢者の比率が増えると、必然的に救急車による搬送も増えていくことに…。実際、佐賀県では最近10年で搬送する患者の数は1.3倍に増加しました。そして搬送にかかる時間は29.1分から34.3分になってしまいました。10年間で5分12秒も遅くなってしまったのです。
搬送人数の増加によって、受け入れてくれる病院を探すだけでも一苦労となっており、結果的に患者のたらい回しが恒常化してしまうことにも繋がってしまったわけです。
そこで佐賀県が実施した打開策が、救急車にアップルコンピューターのiPadを配備するという方法。
iPadで受け入れ可能な医療機関を検索し、素早く患者の搬送を行うわけです。
単純に“佐賀県が救急車にiPadを完備”なんて聞くと、まるで県がiPad・iphoneの流行に乗ってしまったみたいに感じますが、きちんと明確な目的があってのことなんですね。
1つ1つの病院に電話連絡するのに比べ、iPadの検索システムを整備しておくほうがずっと合理的。救急搬送が敏速になれば救命確率も向上します。佐賀県の革新的取り組みには脱帽です!
さて、iPad導入によって救急車の搬送速度がどれだけ向上したのかを見ていくことにしましょう。
iPadの導入によって受け入れ先の病院が見つかりやすくなり、搬送にかかる平均時間は33.3分へと短縮。
導入してすぐに1分の短縮に成功したのです。
また幅広い検索をかけて受け入れ先を決定するため、これまでのように佐賀大学付属病院の救命救急センターばかりに患者が集中することが避けられるようにもなりました。
1分1秒の差で救命確率が大きく変動する救急車。iPadを配備するだけで時間短縮が可能になるなら、それは素晴らしいことだと思いませんか?
では、iPadが救急車でどのように使われているのかを見ていきましょう。
ネットワークに参加している医療機関は、朝晩2回にわたって患者の受け入れができる診療科目を登録しておきます。同様に救急隊のほうも患者を搬送する度に、患者の搬送先・性別・症状などを入力していくわけです。
こうすることで“どこの病院のどんな診療科目なら受け入れられるのか”が瞬時に分かるようになっているのです。
現在、佐賀県で120以上の医療機関がネットワークに参加。さらに増えていく見込みです。
佐賀県の成功例を知った他の自治体は一斉に佐賀の取り組みに注目しました。事実、50以上の医師会・自治体が佐賀県を視察に来ているのです。その後、栃木県が救急車65台にiPadではないもののタブレット端末を搭載。さらに香川県も53台の救急車にスマートフォンを配備しました。
今後、さらに救命医療への情報端末活用が進んでいくことでしょう。