ここでは、重粒子線がん治療を実施・研究する施設「サガハイマット」についてご紹介します。
サガハイマットというのは、日本全国でも4例目、九州地方では最初となる重粒子線がん治療センターのことです。
正式名称は九州国際重粒子線がん治療センター!
佐賀県で2番目の規模を誇る都市、鳥栖市に設置される予定で、開通のニュースも記憶に新しい九州新幹線:新鳥栖駅のすぐ近くに建設されます。
佐賀県の他、九州・山口地区の大学連合、独立行政法人:放射線医学総合研究所、九州重粒子線施設管理課部式会社などが連携した産学官共同のプロジェクト。
初期投資だけで150億円という破格の規模で展開される計画で、2013年の5月には治療開始する予定です。
看護師としてだけでなく、いち佐賀県民としても誇らしいですね!これまで福岡の影に隠れがちだった佐賀が、九州初、最先端のがん治療施設を保有するわけですから。
いつか“九州といえば佐賀県”という時代が来ないものかとわくわくしています。
これまでのがん治療では、外科手術・化学療法・放射線治療の3本柱でした。しかし、これらはそれぞれに弱点を持っており、完璧な治療には程遠かったのが実情です。
外科手術は転移のない症例に有効ですが、がんが広がってしまえばほとんど無力。化学療法は生存期間を延ばすだけで根本治療に至る可能性は限りなく低い…。放射線治療は正常な細胞にまでダメージを与え、放射線障害を引き起こす恐れがありました。
対して重粒子線治療は、身体の表層では放射線量が低く、病巣部分では放射線が強まる特性があります。
そのため、副作用を最低限に留めて、腫瘍だけを効果的に叩くことができる治療法といえるのです。
独立行政法人:放射線医学総合研究所が世界で最初に治療装置(HIMAC)を開発、1994年から重粒子線治療がスタートしましたが、未だ普及しているとまでは言えません。これは、患者負担額が高いことと、治療できる施設が限られており患者の受け入れが課題となっていることが理由です。
保険外診療となっている重粒子線治療ですが、厚労省に認められた先進医療に該当するため、診療費・検査費などは保健診療で3割負担となります。例外的に混合診療が認められているということですね。少しでも患者負担額が下がり、重粒子線治療の受けやすい環境が整うよう願ってやみません。
このサガハイマットが設立されたのは、単に重粒子線治療を行うためだけではありません。これから重粒子線がん治療を普及させていくための人材育成や、さらに治療効果を高めていくための研究を行うことも、サガハイマットの主要な目的です。
佐賀県を中心に、これから九州地方で重粒子線治療の研究が行われていくことは、非常に意義深いことではないでしょうか。